安武 祐貴さん / 鹿児島大学

 

TEDxKagoshimaUniversity Organizer / 鹿児島大学医歯学 陸上競技部 前キャプテン

 

鹿児島大学 医学部医学科5年生

安武 祐貴さん

 

「できない理由じゃなくて、できる理由、おもしろいことをみんなが探しているその雰囲気が大好きでしたね。」

 

そう語ってくれたのはTEDxKagoshimaUniversity、鹿児島大学医歯学陸上競技部でリーダーを務めた安武祐貴さん。発足してまもない2つの組織の中心として、どうあるべきか、どうありたいか。安武さんのリーダー論に迫りました。

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ー 目次 ー

インタビュー中に印象的な言葉がたくさんあります!その中でも特に印象深かったものを見出しとして抜き出しました。見出しにピンときた方はぜひ、本文もお楽しみください。

①「様々な分野の一線で活躍している方々、それに魅力を感じる人がひとつの場に集まることで起こる化学反応を鹿児島大学でも起こしたい。その力がTEDにはある。」

 

②「笑顔で最後に写真を撮る。」

 

③「この人がいるから安心して好きなことにチャレンジできる、

そう思ってもらえる存在でありたい。」

 

④「僕は『頑張る』というよりも『一生懸命』やりたい。」

 

⑤「そのときそのときで悔いのない生き方をしたい。」

 


 

①様々な分野の一線で活躍している方々、それに魅力を感じる人がひとつの場に集まることで起こる化学反応を鹿児島大学でも起こしたい。その力がTEDにはある。

 

◆安武さんが今一番注力している活動について教えてください!

先月7月6日にTEDxKagoshimaUniversityというイベントを開催しました。TEDをご存知の方も多いと思いますが、TEDxKagoshimaUniversityはTEDの公式ライセンスをうけ、鹿児島の「価値あるアイデアを広めよう」という理念のもと医療、テクノロジー、農業、エンターテイメント・・様々な分野で活躍する10名のスピーカーによるプレゼンテーションイベントです。一般の講演会と違うのはスピーカーの方々と密に交流、ディスカッションができること、そのための仕掛けがちりばめられています。

 

TEDxKagoshimaUniversity HP

http://tedxkagoshimauniversity.com

TED HP

https://www.ted.com

TEDについて

http://matome.naver.jp/odai/2130899017379563201

 

 

◆全世界で開催されているというTEDxイベントを鹿児島大学で行おうと思った理由は? 

自分のアイデンティティって何なのかって考えた時にまず鹿児島大学生であることでした。その鹿児島大学の中でもっとおもしろいことができたらな、おもしろい人が増えたらなと思ったのが一番最初のきっかけです。

そして、自分が全国様々なTEDxイベントに参加して、鹿児島大学生にもTEDのよさを知ってもらいたいとも思いました。様々な分野の一線で活躍している方々、そしてそれに魅力を感じる人がひとつの場に集まることで起こる化学反応を鹿児島大学でも起こしたい。その力がTEDにはあると信じて、ライセンス取得に乗り出しました。

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(TEDxKagoshimaUniversityの様子)

 

◆安武さんにとって鹿児島大学生のイメージとは?

TEDxをやるまで鹿児島大学生ってもっといろいろアクティブに活動したらいいのになって思っていました。けれど、実はそうではなくて、すごくいろんなことにチャレンジしているのを知り、そして何でも吸収しようという姿勢がすごいなと・・・。

でも、なかなかそういう人たちが集まる場がなかった。

学ぶことに貪欲、チャレンジ精神旺盛、自分のものにしようとする意識、そんな人たちが一同に集まったらきっと鹿児島大学から世界を変えられると思いました。

 

鹿児島という土地の素晴らしさもあると思います。

それこそ都会だと、何か新しいこと始めようと思ったとき、すでに既存のものだったり、すでに誰かが達成していたり。しかし、鹿児島だとやろうと思ったときに実行できて、自分のものにできやすい。

TEDxKagoshimaUniversityでも必死にメモをとる鹿児島大学生の姿、スピーカーの人と積極的に議論する鹿児島大学生の姿を見て、すばらしいなと思いました。自分が鹿児島大学生であることに誇りを感じました。

 

◆主催を経験して、心境の変化などありましたか?

鹿児島大学生への見方が変わりました。おもしろいことを追求している人がたくさんいることに気付けたことは非常に大きかったです。

そして、開催するにあたり、みんなのいいところを引き出すことが出来れば何でも出来ると感じました。これまでいろんな組織やプロジェクトに参加してきましたが、これほど自分たちでつくりあげたという達成感あふれるものは初めてでした。

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(ミーティングは笑顔が溢れ、いろんな学部の学生がいたからこそ多様な意見がでた)

 

「こういうことやりたいよね」と話せば、何でも実現し、絶対自分1人じゃできないことでもみんながいると何でもできる。必ず得意な人がいて、「僕(私)やりますよ!」と声があがる。総合大学の魅力を感じました。

 

これまで割と1人でこなしていたからこそ、みんなが集まったときのパワーに圧倒されました。

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(装飾品はすべて手作り)

 TEDxKagoshimaUniversityについて取材も受けました!

【W47】鹿児島大学だより!TEDxイベント | Walker47 [ウォーカーフォーティセブン] 

 

②「笑顔で最後に写真を撮る」

 

◆安武さんがこのように精力的に活動される、その原動力ってズバリ何ですか?

今年の僕の目標が「笑顔で最後に写真を撮る」なんです。よくよく考えると「みんなで笑っている場を創りたい」、そういうワクワクを追求して陸上競技部もTEDxもやってきたなと。

 

きっかけは陸上競技という厳しい勝負の世界でした。優勝しても満足できなかったりする一方で、負けたにも関わらずすごく笑うことができたときがあったんですね。その違いは何なのかなと考えたときに自分たちが楽しめているか、楽しめていないかということでした。勝った負けたということを越え、自分たちが楽しむことができ、笑えていたら満足できるんだなあと。

 

それなら笑って最後に写真を撮れるように日々の生活を送りたいなと。

 

昨年の僕の目標は「一流のもの、プロに触れる」

プロのアスリートの方や大手企業の社長さんなど様々な場で活躍されている方のお話を聞く中で、とにかくみなさん笑顔で自分のことを語ってくださったことがすごい印象的でした。

それが、今年の目標の「笑顔」につながったのかもしれませんね。

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③「この人がいるから安心して好きなことにチャレンジできる、そう思ってもらえる存在でありたい」

 

◆陸上競技部、TEDxKagoshimaUniversityと様々な場面でリーダーとしてやってこられて、安武さんにとってリーダーとはどういう存在でしょう?

本当に困ったときに頼れる人だと思います。

僕はリーダーとして自分の意見を強制したくありませんでした。みんながやりたいと思うことを尊重したいと常々思っていました。もしも何かアクシデントが起きたとき、その人が手を差し伸べてくれるという安心感、この人がいるから安心して好きなことにチャレンジできる、そう思ってもらえる存在でありたいなと。

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それこそ昨年の九州インカレの4×100mリレーを思い出すことができます。当時エースだった先輩が怪我でベストタイムよりも1秒以上調子を落としているとき、僕を含む他のリレーメンバーはエースはその人じゃないとダメだと押し切り出場をしました。残念な結果に終わりましたが、エースの先輩がいたからこそ他のリレーメンバーも思すべてを出し切り、笑顔で終わることができたと思っています。それはやはりリーダーへの信頼感、そこにいるだけでみんなの力がわきおこる存在感だと思います。

 

◆その中(リーダーとして)安武さんがいつも心がけていることは?

TEDxの1年間も、陸上部でキャプテンを務めた1年間もいつも心がけていたのは、何かを強制しないこと、みんなが自由にやれる雰囲気づくりでした。自分が楽しいことを求めている分、みんなにも楽しい思いをしてほしい。「させられる」という強制の中に楽しみは生まれないと思ってて、みんなが主体的に自己実現した結果として「楽しみ」は生まれるのかなと。

 

陸上部に関して言えば、自由な雰囲気を先代のキャプテンから引き継ぎました。参加人数が少なくても部活に来ない人が悪いのではなくて、それはみんなが行きたいと思う雰囲気をつくれなかった自分の責任だと思うようにして、常々どうしたらみんなが自由に楽しく活動できるか考えていました。

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(写真前列中央:安武さん、その左がインタビュアー)

 

 

④「僕は『頑張る』というよりも『一生懸命』やりたい。」

 

◆イベント主催においてリーダーとして心がけていたことはありますか?

TEDxに関して言えば、やらなければいけない「仕事」がたくさんありました。そのとき心がけていたのは、仕事をわりふるときに「これしてくれない?」「これやってよ」と直接頼むことは少なかったです。

「できる人いませんか?」と依頼の方法を変えることで、「僕やります!」「私それ得意です!」という声がでやすく、それぞれが自分のできる範囲内で楽しく仕事ができる環境を目指しました。こういった環境がないと、きつく感じたり、無理をするスタッフがでたり・・・きっとうまくいってなかったと思います。きつくなると、そこには「楽しさ」は生まれないと思います。

 

「頑張る」と「一生懸命する」は違うと思ってて、僕は「頑張る」というよりも「一生懸命」やりたい。そこにあるのは無理していないこと、自分のキャパシティを考えること。「一生懸命やる」ことに対して、自分の力の中で全力を出し切るようなイメージをもっていますね。「頑張れ」とは言いたくないけど、「一生懸命やろうよ」とは言いたい。

 

陸上部も創部して間もないですし、TEDxKagoshimaUniversityも出来て1年。今、どちらの組織も転換期を迎えていると思います。今後何年も継続していくうえで、そこには責任が出てくると思います。その組織から社会に何かを還元をしないといけない。存続していく上でその組織が社会にとってどういう存在なのか明確にしていかないといけないと思っています。

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⑤そのときそのときで悔いのない生き方をしたい

 

◆今後やりたいこと、夢などについて教えてください!

僕は自分がリーダーだという自負はあまりないですが、今後もこれまでと同じようにみんなで何かを作り上げたいと今はそう思っています。自分ができること、難しいことが何なのかしっかりわけて、難しいことは周りに素直に助けを求めたい。そして僕にできることが誰かの助けになれたらと。

 

今日、様々な職種が連携するチーム医療が非常に注目されていますが、将来そういう体制作りに関わりたいですね。病院長まで職種、立場を越えてフランクな場がつくれたらなと。そこには皆が生き生きと働いていて、病院全体が笑顔があふれてると思うんですよね。そうして、病院に行くこと自体がネガティブなことではなく、ポジティブなことになり、国民が自分の健康について関心をもつことで医療費の削減にもつながったりするのかなとも思っています。

 

実は今年の8月中旬よりマイアミに医学留学します。目標は「新しい軸を手に入れる」これ一本です。今までになかった世界に飛び込み、世界から自分の国・日本を見てみたい。そのための比べる軸がほしいなと。これまで話にしか聞いたことなかった事実、例えばアメリカの医療は先進的であるといったことは本当にそうなのか、この目で、この体で直接感じたい。

 

僕の中で遠い将来のことはあまり見据えられていなくて(笑)でも、そのときそのときで悔いのない生き方をしたいとは常々思っていますし、そのためには選ぶ段階に来たときに選択肢はたくさん持っていないといけない。例えばグローバルに活躍したいと思ったときにその選択肢をもっていなかったり、選択肢としてもてる能力(語学とか)がなかったらやっぱりまずいのかなと。

マイアミに行く目的のひとつはその選択肢を広げるためでもありますね。

ひとつしかない選択肢から仕方なくをそれを選ぶのか、それとも3つ選択肢をもっていて、悩んだ結果それを選ぶのかでは、同じものを選んだとしてもそれはまったく違うと思います。

 

◆最後に読者のみなさんに伝えたいことをお願いします!

好きなことに思いっきりチャレンジしてください!ただ条件があって・・・人に迷惑をかけない。好きなことをとことんやって、うまくいかなくてもいい意味で「ま、いっか!」と思えるくらい一生懸命になれたら最高だと思います。

 

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インタビューを終えて

僕は安武さん(日頃は呼びすてですが・・・笑)とは陸上競技部、TEDxKagoshimaUniversity両方で一緒に活動させてもらっていましたが、改めて安武さんの想いを聞かせてもらい、場を創ることに非常に長けているリーダーだと感じました。あれこれ指示するのではなく、皆が楽しく笑顔で最高のパフォーマンスを発揮できるような場を創る。「楽しい」という直感を大事にし、シンプルで1本のまっすぐな芯の通った生き方。

だからこそ、安武さんの周りには笑顔があふれ、次々とおもしろいことがわき起こるのかもしれません。1年後、マイアミから帰ってきた安武さんの姿に注目です!

(インタビュー・文/原田 創  写真/Ko)

 

鹿児島大学 歯学部6年生。「おもしろい」を大切にし、Midnight Runners Kagoshima , GOOD SUNDAY GREENTEA BAR , TEDxKagoshimaUniversity , Cafeきやんせ , guchibank等のプロジェクトに関わり、多様な人が集まったときに起こる化学反応を楽しむ。