鹿児島市谷山に6月にオープンした、Coworking Space『Ants(アンツ)』
「創発」をテーマに、地域の面白い人たちが繋がり、想像もしなかったような何かを生み出す、そんな場を目指している『Ants』の運営に関わる2人の学生にお話を聴きました。
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鹿児島国際大学2年
小西里奈さん 山下真央さん
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◆最初に、『Ants』について聴かせてください。まず、オープンしたのはいつですか?
小西里奈さん(以下、K):オープンしたのは2014年6月15日です。サッカーW杯のパブリックビューイングをオープニングイベントとしてしました。
◆最近なのですね!オープンに向けて準備を始めたのは、いつぐらいですか?
K:5月くらいです。
◆『Ants』が、オープンスペースとして開かれている目的はなんですか?
K:「創発」っていう言葉がキーワードになっています。面白い人が集まる場所を作って、その面白い人たちが、私たちの知らないところでもなんでもいいから、勝手に一緒に何かやろうって言って、新しいものが生まれたりすればいいなという思いで開いています。それで、なんで『Ants』なのかというと、「創発」って言葉をインターネットで検索した時に、例で、よく蟻の巣が出てくるんですよ。働き蟻がどんどん巣を作って行って、そしたらいつの間にか大きい一つの巣になっているんです。それがコンセプトとなっているので、『Ants』という名前がついています。
◆じゃあ、このロゴマークも…
K:これは、蟻の複眼です(笑)
◆わー!すごい!!(笑)それを聴くと、ロゴマークにさらに味が出ますね!それに、いろんな人が集まることによって、出来ないことができるようになったり新しいものが生まれたりすることはありますよね。お二人は、どんなきっかけで『Ants』に関わり始めたんですか?
K:この場所を借りてらっしゃる会社の方と、都道府県ベンチャーサミットで初めてお会いしました。もともと、コワーキングスペースを開設する予定で、その運営を学生に任せたいと思ってらっしゃったそうです。後日、「こりなちゃん(小西さんのニックネーム)なら(コワーキングスペースの運営を)頼めると思う!」ってメッセージをいただいて(笑)「じゃあ、やります!面白そう!」って言って、関わらせてもらうことになりました。
(開設前の、まだ何もない『Ants』。昔は、銭湯として使われていたこともある場所だったんだとか)
◆へー、不思議なご縁ですね。それで、小西さんが山下さんを誘ったんですか?
K:はい
山下真央さん(以下、Y):付き添いです。(笑)
K:そんなことないよー。
◆小西さんは、なんで山下さんに声を掛けようと思ったんですか?
K:もともと「きっかけバス」で一緒に活動していました。その時に、私が嫌いな事務作業をちゃんとしてくれていたんです。リストアップ作業とか早いし、ちゃんとしてるし、私はそういうのが出来ないからやってもらおうと思って(笑)
Y:利用だ、利用(笑)
きっかけバス47
http://kikkakebus.tasukeaijapan.jp/
◆(笑)お互いの向き不向きがカチッと合っているんでしょうね。山下さんは、声を掛けられたとき、どう思いました?Y:面白そうだったから、すぐに「いいよー」って言いました。
◆へー、ノリの合う関係でいいですね!今、『Ants』の運営は、ここを借りている合同会社の方とお二人で調整しつつしているんですか?
K:はい、そうです。
◆学生で関わっているのはお二人だけですか?
K:はい、メインは2人です。でも、メンバー募集中です!
Y:うん、欲しい。
◆『Ants』の運営メンバーには、どんな人が加わってほしいですか?
K:どんな人が来ても、人が集まれば、絶対楽しくなると思うんですよね。
Y:うん、それはそう思う。
◆じゃあ、興味さえあれば、誰でもOKですか?
K:はい、OKです!あ、でも、家が近かったら嬉しいかな(笑)
◆そうですよね!2人は家が遠いんですか?
K:車で30分くらいです。家が近い人がいれば、ここを開けられる時間も増えるので。
◆学生メンバーが増えれば、『Ants』を開放できる時間も増えて、利用できる人も増えるってことですもんね。
K:そうです。
◆でも、実際、運営するのは忙しくないですか?
Y:忙しい時は忙しいですけど、でも、言うほど忙しくはないです。
K:ここにいる時間は、ゆったりと過ごせるし。
Y:この前、ここで一人合宿したからね。いろいろやらないといけないことが溜まっていたので、ここで過ごしていました。
K:お疲れ様(笑)
Y:めっちゃ寂しかった(笑)
◆(笑)寂しい事もあるからこそ、運営メンバーが増えるといいですね。メンバーを増やすためにしていることはありますか?
K:とりあえず、周りから固めようと思っていて、暇そうな人や使ってくれそうな人に「来ない?」って声をかけてみたりはしています。
◆そのときの反応はどうですか?
K:面白そう!って食いついてはくれるんですけど、やっぱり、家が遠いとか、そういう理由で断られちゃいます。
◆すごくいい場所にあると思うんですけどね。今日はAntsまで歩いてきたんですけど、その道のりも面白かったです。
Y:楽しいですよね。
(最寄りの谷山駅の近くには川が流れており、涼しげ。振り返ると桜島も。『Ants』までの道のりは、のどかで楽しかったです。)
◆まだオープンして間もないですが、現在の利用状況は、どのような状況ですか?
K:まだ利用者自体は少ないです。でも、この前は家具を作っている方が1日中いらっしゃていたり、ゼミの合宿をしたり。面白い方が使ってくださっています。
◆合宿などで貸し切り利用をすることもできるんですか?
Y:イベントなどでも貸し切り利用できます。
◆今まで行われた貸し切りイベントは、どんなものがありますか?
K:W杯のパブリックビューイングを3回と、毎週土曜日に英会話教室を開いてらっしゃる方が、プロモーションの意味も込めて無料英会話教室を開かれました。
(オープニングイベントである、パブリックビューイングの様子)
◆利用されている方たちの管理をお二人がしているんですか?
K:そうです。あとは、イベントを企画したりしています。
◆『Ants』の椅子や机はお二人が組み立てられたんですよね?どのくらいかかったんですか?
K:一週間くらいかな?
Y:だいたいそのくらいですかね。
K:椅子が大変でしたね。50脚作ったので。
◆50脚!それは大変ですね!
K:友達にも手伝ってもらって、組み立てをしました。
Y:いろんな人がパラパラと手伝いに来てくれたね。
K:パブリックビューイングの1回目が始まる前に、本当にできるのか不安でした。でも、まあ、出来なかったら出来なかったで、「これからみんなで作り上げていきましょう!」って伝えればいいかなって思っていました。
Y:オープンした時は、まだエアコンもなかったしね。
K:そうそう。1回目はエアコンもなくて、2回目のパブリックビューイングではエアコンがついたので。
Y:「2回目は涼しいよ!」って宣伝したりね(笑)
◆エアコンが無いのも臨場感がありますよね。ピッチと同じ状況というか。(笑)手作りで作られていくのもAntsらしくていいですね。まだ動き始めたばかりだと思いますが、感触としては、いかがですか?
Y:楽しいです。
◆楽しいと感じるのはどういうところですか?
K:椅子を作っていた時に、突然、手伝いに来てくれた人がいて、それがすごく嬉しかったです。知っている人が来てくれるのも、面識のない人たちが利用しに来てくれるのもどちらも嬉しいです。さらに、そういう人たちがここで出会って、話したりしているのを見ると嬉しくなるし、楽しいですね。
Y:ここはコワーキングスペースなので、知らない人たちも出入りします。ここで、いろんな出会いがあり、その場面に立ち会えるっていうのは、これからの楽しみでもありますね。
◆そういう瞬間を目撃できるのは、運営に携わっているからこそですね。世代を超えた交流も生まれると思うので、大学内では生まれなかった動きを体験出来そうですね。運営するうえで大変だったことはありますか?
K:有料でイベントをするときに、採算を合わせることに悩みましたね。そんなに利益は出なくていいから、赤字は避けたくて。
Y:『Ants』に関わるまでは、無料イベントしかしたことなくて、大変でしたね。
K:初めての経験でした。
◆確かに、お金が発生するイベントはいろいろと考慮しなくてはいけないですよね。それも踏まえて、これからここでやってみたいことはありますか?
K:映画が好きなので、映画鑑賞会をしたいですね。会ごとにテーマを決めて、プロジェクターを使って映画鑑賞会を定期的にやりたいですね。
◆それはいい!行きたい!(笑)山下さんはなにかありますか?
Y:突発的にものを考えるので、僕はまだないですね。でも、写真を撮るのが好きなので、それに関連したイベントをしてみたいですね。どんなイベントでも、たくさん人が来てくれるように工夫したいですね。
K:勝手に壁に写真展しちゃえばいいのに。(笑)
Y:貼り付ける?(笑)
◆個展が開けちゃいますね。(笑)突発的に何かができるのは、自分の場所を持っている人や場所の運営に関わっている人ならではですよね。
Y:場所が確保できたのは、でかいですね。
K:東京の知り合いに声を掛けてもらって、『Ants』で「超英語合宿」というイベントをすることになったんです。鹿児島の知り合いが私しかいなかったみたいで、お手伝いすることになったんですけど、『Ants』に関わっていたお陰で場所もすんなり決まりました。
◆それはいいですね。何かをしたくても、場所がなかなか見つからないのが、学生のネックだなと感じることがよくあるので、『Ants』という場所を持っているお二人が羨ましいです。『Ants』に置いてある椅子や机の配置も2人で考えているんですか?
K:これは、イベントごとに好きに配置しています。
Y:適当に動かすよね。
K:好きなところで好きなように使ってくださいと言っています。
(インタビュー時の『Ants』。日に日に机や椅子は利用者によって移動されます。)
◆「自由に使ってください」というスタンスなのですね。
K:集会所みたいな感じで、おじいちゃんおばあちゃんも来てくれるようになったら、私も和めるので嬉しいですね。地域の人には、ぜひ使ってもらいたいです。「一人で寂しいから来た」とか、そういう場所になってほしいです。
◆コミュニティの起点になったら、面白そうですね。フリーで働く人たちの為のコワーキングスペースもたくさんある中で、「地域の人にも利用してほしい」と思う理由は何かありますか?
K:なぜ谷山でコワーキングスペースを開いたのかっていう理由に起因していると思います。ここを貸してくださっている方が仰っているんですけど、今、鹿児島市は何をするにしても、天文館や中央駅が中心になっていると思うんです。その分、谷山は盛り上がりに欠けるというか…。そんな中で、ここ(Ants)が目的地になるような場所になれたらいいなと思っています。地域活性化にも結び付けたいんです。だから、その為にも、まずは地域の人たちに使ってほしいなと思っています。
◆『Ants』に来れば、「谷山の○○さんに会える」っていう魅力も生まれそうですね。地域の魅力は、場所自体の魅力もあればそこで生活している人への魅力もあると思います。地域の人たちとは、お話したりするんですか?
K:はい。この前は、無料英会話教室のチラシをポスティングしに行った時に、お話しました。優しい人が多いです。「大変だね!暑いのに!」って言って、アイスをくれたり。(笑)両手に荷物を持っていたので、食べられないなと思っていたら、「持ってあげるから、早く食べなさい!」って言われて。(笑)
Y:めっちゃいい人だね。
◆そういう出会いがあると、一層谷山のことが好きになりそうですね。2人は、谷山に住んではいないと思うんですが、この地域のことはどう思っていますか?
K:『Ants』に来るようになってから、谷山で今まで行ったことのなかったところに行ったり、今まで通ったことのない道を通ったりすると、新しい発見があって面白いです。
◆例えば、どんな発見がありますか?
K:車で来る途中の道に可愛い雑貨屋さんやお菓子屋さんがあったりとか。
◆へー、興味を持って通ると、今まで見えてこなかった魅力を見つけられそうですね。山下さんは、どんな思いがありますか?
Y:谷山にあんまり来たことが無かったんですけど、過ごしやすいところだなと思います。今までは、大学に行くまでのただの通り道だったんですけど、最近は谷山が第2の拠点だなって思えるようになってきました。本当に良かったなと思います。
◆なるほど。通り道が拠点になるのはいいですね。他の人たちも、「通り道だから寄っていくか」って思ってくれたら嬉しいですね。谷山という地域自体が魅力的だなという思いもどんどん増してきました。では、最後に2人から読者へのメッセージをお願いします。
K:鹿児島に来た際は、ぜひAntsへ!ここでお友達になれたら、案内くらいはします!
Y:ぜひ、会いに来てください!
(鹿児島にお住まいの方もそうでない方も、谷山に来たら、ぜひ『Ants』へ。きっと小西さんと山下さんにも会えますよ。)
◆編集後記
インタビューの為に、初めて『Ants』にお邪魔したのですが、清潔感があって、とても落ち着く空間でした。スタッフの方(私が行ったときは山下くんでした)が、どなたでも歓迎してくださいます。今回インタビューさせていただいたお二人も、柔らかい雰囲気の持ち主で、これからいろんな人を受け入れ、繋がりが生まれるであろう『Ants』にぴったりな雰囲気だなという印象を抱きました。皆さんも是非一度、『Ants』に足を運んで、「創発」の瞬間を体感してみてください。
(インタビュー・文 吉野さくら)
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Coworking Space「 Ants」
鹿児島市上福元町3737‐2
営業時間は不定期ですので、HPやFBページでご確認ください。
http://ants3737.wix.com/ants
https://www.facebook.com/ants2014?fref=ts
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小西さんや山下くんと一緒に『Ants』の運営をしたい!という方も募集中◎
興味のある方は、『Ants』のFacebookページもしくは下記のアドレスにご連絡くださいませ!
【Coworking Space Ants Facebookページ】
https://www.facebook.com/ants2014?fref=ts
【メールアドレス】
ants3737@gmail.com