―――長崎の食べ物といえば、みなさんは何を想像しますか?
カステラ、ちゃんぽん、角煮まんじゅう、etc…
そう!!長崎にはとっても美味しい食べ物がたくさんあります!!
観光するときに家族と、大学の友達と、お土産に…
どこで、誰と、何を食べるか迷っちゃいますよね。
駅前ですませるなんてモッタイナイ!!
そして、カステラなどの由来など、地元の人にも意外と知られていないッ。
せっかく長崎で美味しいものを食べるなら、もっと食べ物のことを知ってみるとより楽しむことができるのではないでしょうか??
―――みなさんは、『和華蘭』という言葉をご存知でしょうか・
長崎は、鎖国をしていた江戸時代に貿易を行っていた、中国とオランダの文化の入口でした。
本国は外国の影響を受けずに日本独自の文化を発達させていきましたが、長崎は違いました…
出島を入口に中国とオランダの文化が入ってくると、長崎では『和華蘭』という独特の文化が開花したのです!!
その中でも、このトピックでは『和=日本』『華=中国』『蘭=オランダ』のそれぞれの文化が重なり合い誕生した「和華蘭食文化」に触れつつ、長崎特有の食べ物を紹介していきます!!
和華蘭食文化を代表する「卓袱料理」
―――卓袱料理
なんと読むか、みなさんにはわかりますか?
“しっぽく料理”と言い、長崎の住民でもなかなか食する機会の少ない宴会料理です。
どんな料理なの?いくら位で食べられるの?マナーは…??
疑問はつきませんよね!!
この『卓袱料理』こそが、長崎の和華蘭食文化を代表する食べ物なのです!!
―――卓袱料理は中国料理や西欧料理が日本化した宴会料理で、現在では割烹や料亭で食べることができます。
また、結婚披露宴や冠婚葬祭などたくさんの人が集まる場で振舞われることもあります。
食事の形式としては中国の文化が色濃く現れ、大皿に盛り付けられた料理を円卓に並べ、個々人が取り分けて食事をする形になっています。
長崎割烹浜勝のコース
大人数のご飯を作るお母さんに優しいですね!
マナーというほどのものではありませんが、“おひれ”と呼ばれる吸い物にはじまり、
刺身や湯引き、煮豆、豚の角煮など季節の食材を使った多彩な料理をいただきます。
主 な 献 立 | |
一、尾鰭 | 吸い物仕立てで、その椀を特に”おひれ”と言います。真ん中に小餅をいれ、鯛、えび、鶏、三つ葉などを盛り合わせる |
一、小菜(刺身) | ご当地ならではの食材が並びます。鯛、ひらす、ぶり、ひらめ、いかなど |
一、小菜(湯引き) | あら、はも、いかなど。付け合せにほうれん草や赤かぶなど。酢味噌や二杯酢を添えます |
一、小菜(口取り) | 二色卵、えび黄身ずし、魚うに焼き、南蛮漬けなど |
一、小菜盛(香の物) | 漬け物各種 |
一、中鉢(豚角煮) | 皮付き豚三枚肉。付け合せに野菜 |
一、大鉢 | あなごしんじょ、長崎天ぷら、巻そぼろ、白いも、かぼちゃ、人参など |
一、煮物 | 揚げ玉、かつお菜、たけのこ、きくらげなどを入れたスープ |
一、御飯 | |
一、水菓子 | 季節の果物 |
一、梅椀(しるこ) | しるこに紅白ざらしの団子、塩さくら |
献立には中国料理特有の薬膳思想が組み込まれていると考えられており、西洋から伝わった砂糖や香辛料なども用いられています。
南蛮料理、南蛮菓子は卓袱料理の発展の下地になったとか!?
“卓袱”の由来ですが、中国語で“卓”はテーブルを、“袱”はクロスの意味を持ち、“しっぽく”という言葉が広南・東京(トンキン)方面を指す言葉であるとも言われ、諸説あるようです…。
価格帯としては一人当たり5,000~12,000円とお高めですが、たまには上座も下座もない円卓を囲んで、みんなで仲良く食事をとってみるのもいいのではないでしょうか。
(文 中元喬介)
参考資料
・長崎県日中親善協議会
http://nagasaki-nitchu.org/japanese/04exchange/01history.html
・古場『卓袱料理のすすめ 長崎文化の奥義』
・郷土料理おススメ レシピ集
http://www.e-nagasaki.com/contents/recipes/index.html
・イラスト365日